手作り石けんの作り方
私は8年ほど前から石けんを手作りしています。顔と体を洗うのは毎日石けん。
使用感がしっとりしていることと、季節や肌の状態に合わせて自分の好きな材料で作れるところがとても好きです。
石けんの作り方は、熱をあまり加えないやり方の「コールドプロセス」。他のやり方もあるのですが、今回はコールドプロセスについて説明します。
「石けんを作ってみたい!」と思って検索してみると、薬品を使用すると出てきて怖くなってしまうかもしれません。この記事は初めて石けんを作る方や、作ったことはあるけれどイマイチ大切な部分が分からない、という方に向けて書いています。
手作り石けんは、正しい知識と手順を身につけることで、安全に作成することが可能です。
石けんを100回以上作ってきたおいもさんが、手作り石けんの作り方を解説します。
1.道具を揃える
石けんを作るには、道具がたくさん必要です。最初は出費がかさむかもしれません。
けれども、お料理と一緒で一度購入してしまえば何年も使えます。私自身も最初に買ったガラスボウルを未だに使っていますよ。
・ガラスかプラのボウル(2~3リットルのサイズ)ー耐熱素材にする
・泡立て器(ステンレスかプラ)
・小さいボウル
・蓋付きプラ容器2つ
・ステンレススプーン
・0.1g単位で計量できるはかり
・シリコンヘラ
・温度計2本
・湯せんできる大きめの鍋かボウル
・型(牛乳パックがおすすめ)
・ラップ
・タオル2枚
・発泡スチロールの箱(なければ段ボール)
私は以下のセットを購入してずっと使っています。
ヘラ類や型など、道具は100均で買えるものも多いです。最初は100均を利用するのもおすすめ。
道具を選ぶ時には「プラスチック製」か「ガラス製」を選びましょう。どちらもない場合はステンレスにします。アルミなど他の金属製品は避けてください。
2.材料を揃える
石けん作りの材料は油脂・水・水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)です。慣れてくると香りづけやデザインも色々と可能に。まずは作りたいレシピを見て、必要な材料を揃えましょう。
香りづけには精油(エッセンシャルオイル)や、フレグランスオイルが用いられます。他にもクレイを入れた石けんや、蜂蜜石鹸など、アレンジの仕方は無限大です。
石けんの勉強をすることで、自分でレシピを作れるようになります。レシピ作りについては後日書きますね。
3.身支度と準備
材料が揃ったら身支度をしましょう。
エプロン、ゴム手袋、マスク、ゴーグルを装備します。
割烹着や白衣をお持ちであればそちらを使ってください。特に袖口までしっかり覆われている割烹着は、より安全に作れます。できるだけ肌が露出しない格好にしましょう。
ゴーグルはJiNSが出している「スカッシー」シリーズがおすすめ。鼻が低い私でもズリ落ちず、目元をガードしてくれます。
初めのうちは工学部の学生が使うような全面透明のゴーグルを使っていたのですが、大きすぎてズレまくったので買い替えました。スカッシーは花粉用メガネなので、花粉症の人は兼用できて一石二鳥。
石けんを作るテーブルには、油が飛んでもように新聞紙などの敷物を敷きます。
また、使う材料をテーブルの上かすぐに取れる位置に全て出しておきます。初めに全ての材料を広げてから作業を開始すると、計量をする時に慌てずに済み、材料の入れ忘れが防げますよ。
4.計量と苛性ソーダ水の作成
まず、苛性ソーダ以外の材料を計量します。油脂は一つのボウルにまとめて計ると間違いにくいです。常温で固形の油脂は(ココナッツオイル、パームオイルなど)湯せんで事前に溶かしておきましょう。
油脂を全て計り終えたら湯せんにかけます。低温で加熱できる電気コンロがあると便利です。
ここからしっかり読んでくださいね。
次に、苛性ソーダ水を作ります。
苛性ソーダと精製水を別々のプラ容器にそれぞれ計量。
精製水の入っている容器に苛性ソーダを入れます。
水溶液が飛び散って危険なので、入れる容器を反対にしないように。蒸気が発生するため換気扇を回しておきましょう。
苛性ソーダが完全に溶けるまで混ぜたら、水を張った小さめのボウルを用意します。暖かい地域や夏場であれば、ボウルには氷を入れると良いです。
苛性ソーダが水に溶けると、反応熱で熱くなってきます。水を張ったボウルで徐々に冷まし、40度くらいになるまで待ちましょう。
5.攪拌
苛性ソーダ水の温度が下がるのを待っているうちに、湯せんにかけておいた油脂も40度に達するかと思います。湯せんを外して底面の水気を拭きます。
苛性ソーダ水と油脂の温度が揃ったら、油脂のボウルに苛性ソーダ水を静かに注ぎ入れましょう。
ここからが面白いところです。苛性ソーダ水を注ぎ入れると、すぐに白濁します。
苛性ソーダを注ぎ終えたら、泡立て器でくるくるくるくる。20分は混ぜ続けます。
慣れるまでは割と疲れるのですが、慣れるとテレビを見ながらでもできるようになりますよ。上腕三頭筋を意識すると楽です。
時々ボウルの底に手を当ててみて、お風呂くらいの温度になっているかを確認。暖かい時期は40度、寒い時期は45度を目安にすると良いです。
混ぜている途中で石けん生地が冷えてきたら、湯せんにかけて40度くらいまで温度を上げます。
20分まじめに混ぜましたか?ここまできたら小休憩。
一度手を止め、使用した材料や道具を片付けると良いでしょう。私は油脂のボトルと精油を片付けて、コーヒーを淹れるのが定番です。
混ぜては待ち、混ぜては待ち、というのを繰り返し、石けん生地にとろみがつくのを待ちます。
生地を落とした時に跡が残る、泡立て器をくるりと回すと線が残るようになったら型入れのサイン。この状態を「トレース」と言います。
石けん生地が白っぽくもったりとして、ホワイトソースのようなツヤが出るのが特徴的です。
トレースが来たら精油を入れて混ぜ、型入れに移ります。オーバーファットやハーブなどを入れる場合もここで投入。
6.型入れ、保温
トレースが来たらボウルを両手で持ち、型に注ぎ入れます。大体注ぎ終わったら泡立て器をシリコンベラに持ち替えて、ボウルについている石けん生地を綺麗に取りましょう。
せっかく質の良い油脂で作るのですから、生地は残さず型に入れること。そのほうが後片付けも楽になりますよ。
生地を入れ終わったらラップをして(蓋付きの型であれば蓋をして)タオルで包みます。
別のタオルを敷き詰めた保温箱に静かに置きましょう。
この箱はギフトでいただいた、ハーゲンダッツが入っていた発泡スチロールです。
保温箱に蓋をして、このまま24時間以上置きます。
保温を開始したら、石けん生地を作るのに使った道具類の片付けをしましょう。
食器用の中性洗剤か石けんを使って洗います。スポンジは食器用とは別のスポンジを使うこと。
私は石けんを作る時に新しいスポンジを出し、元々使っていた古い方のスポンジを石けん用にしています。
また、洗い物もゴム手袋をつけた状態で行います。
7.型出し
24時間以上保温をしたら保温箱から石けんを取り出し、半日〜3日程度待って型から出します。
少し待ってから型出しするのは、石けんに急激な温度変化を加えないため。ゆっくりと室温に馴染ませると仕上がりが綺麗になります。
8.切り分け
型から出したら、包丁やワイヤーカッターで切り分けます。
型出し直後に切っても良いですし、柔らかければ2〜3日ほど待ってから切ると扱いやすいです。
9.熟成
木箱や段ボールなどに入れ、風通しの良い場所で1ヶ月間熟成させたら石けんの完成です!
10.コツや注意点
石けん作りで忘れてはいけないポイントは3つ。
・苛性ソーダ水を作るときは、精製水に苛性ソーダを入れる
・最初の20分は混ぜ続ける
・材料を素手で触らない、手袋とマスクを着用する
この3つを守っていれば、怪我をしたり、失敗したりすることはあまりないかと思います。細かい部分は追々紹介できれば良いな。
また、トレースまでの時間は材料や気候によって大きく変動します。時間に余裕を持って作るのがおすすめです。